2003.12.27
■戦況報告2004初頭 全国で、神帝軍は退けられています。その中でも今回、もっとも重要と思われる事をピックアップしました。世界は大きく動いています。状況の推移は激しく、全体像もぼけてきました。生き残るための戦いから勝利のための戦いへ――私たちの戦いは、次のステージへ移ろうとしています。
・隠れ家サミット 2003年12月27日――。 『古の隠れ家』黒き古城。 そこに、各地の司が集まった。北の隠れ家『雪花』からはウインターフォークの一葉。西の隠れ家『瑠璃』からはフェアリーティルのつばさ。そして南の隠れ家『翡翠』からはインプの鼎。そしてホストは、『古の隠れ家』の司となったナイトノワールの歩美。 サミットは、城の『黒曜石の間』という場所で行われた。近況報告に始まり、互いの意見交換が行われる。ホストの歩美が遅刻したのはご愛嬌。
一葉:守っているだけでは、彼我の兵力に差のありすぎる我らに勝ち目はありません。 『雪花』の司、一葉は、自衛隊との共闘の姿勢を明らかにした。『人類魔人(デアボリカ)化計画』という計画――平たく言えば、人間をすべて悪魔化してしまおうという計画をぶち上げ、神帝軍との徹底抗戦の構えを見せている。そのほとばしる激情は、主戦論派の鼎をも凌駕しているかもしれない。すでに彼女は行動に移り、旭川で成果を挙げている。 しかし、魔皇たちの反発は強い。
歩美:古の隠れ家まで、遠路遥々お疲れ様でした。 魔凱(アクス)とメガフロート。この二つの重要物件を握る『古の隠れ家』の司、歩美は、その管理についての提言を行った。 魔凱については各隠れ家に配布し、司が管理を行い必要に応じて魔皇たちに貸し出すことに決まった。メガフロートについては、次の神帝城攻略戦でも使われる事が決定している。そのさいには、『紫の夜』を使えるよう内部に『儀式の間』を設ける予定だ。これで失われた『蒼嵐』を拠点としていた関東圏における紫の夜のカバー範囲を、補う予定である。その威力は、今回の横浜メガテンプルム攻略戦においても遺憾無く発揮された。
鼎:生命の持つ至高の輝きである『生きる喜び』をわらわは捨てたりはせぬぞ? 『翡翠』の司、鼎は、交戦論を押し立ててきた。インファントテンプルムの各個撃破に、香川で発見された、メガフロートに類する小型殲騎船の実戦配備。戦いの転機と人があれば、鼎は逆転してみせるという。福岡テンプルムのペトロに対する、積年の恨みもあるようだ。 ただ今は、事後についての配慮に腐心しているらしく、メディアを使って魔皇たちの生活を元に戻すことなどに心を砕いている。本人は、事件が終わればかつての逢魔のように、ひっそりと生きてゆくつもりのようだ。
つばさ:そうですね……隠れ家を取り戻す……守るための戦いですから……賛成……です。 『瑠璃』の司、つばさは、戦闘そのものを否定する姿勢を見せて魔皇たちの不興を大きく買った。戦いを憂える姿勢は評価できたもののサミットにおける発言に実りのあるものは少なく、非戦論者というよりは泣き寝入りに近しい態度に、魔皇たちから『否』の声が上がったのである。つばさは、瑠璃自体にさらなる『結界』を張り巡らし防備を固めるつもりのようだが、それが神帝軍の支配のくびきから逃れられる手段とは思えない。実際魔皇たちからは、戦略・戦術における『具体的な抵抗案』の提案が多かった。『蒼嵐』を取り戻したいという協調姿勢はあったが、一葉の『人類総魔人化計画』に対しては断固たる拒否の姿勢をしめしていた。
・総括 サミットでは『魔凱』の取り扱い、『メガフロート』の使用、『蒼嵐』奪還、『事後の魔皇たちの生活の保障』の4点について合意が得られた。だがそれ以外のことについては、ほとんど合意に至らなかった。鼎などはわりと柔軟な姿勢を見せていたが、一葉はかたくなまでに神帝軍の撃退に固執しており、どのような犠牲もいとわない姿勢を見せていた。歩美はホストに徹して能動的な発言は控えめだったが、一葉の『人類総魔人化計画』に興味を示していた。曰く「司になる前みたいに、楽しく出来るのなら――」とのことである。つばさは戦争回避の手段を模索しつつ、黙したまま隠れ家へと帰っていった。 魔皇たちが一枚岩となる日は、まだ遠そうである。
・自衛隊蜂起・北部方面隊第2師団 去る2003年12月27日。その一週間前ほどから起きていた自衛隊北部方面隊第2師団(旭川)の篭城は、ワイドショーをにぎわせ、全国の人々に衝撃を走らせた。まだそれだけの『気骨』を残していた人間が居たこと自体驚異的だが、その蜂起が成功し、旭川から神帝軍を追い出してしまったのだ。 画面には粛々と並ぶ戦車の砲列が映り、そして広所に誘導されたサーバントの群れと2騎のネフィリムを、その砲撃で殲滅せしめたのである。ただの一斉射で。 旭川駐屯地にある戦車の数は92両。そのうち120ミリの強力な砲を持つ90式戦車は少数であったが、105ミリ砲を装備する74式戦車を主力とした戦車隊は市内の高所に陣取り、魔皇たちの誘導したサーバントならびにネフィリムをメディアの前で砲撃、殲滅したのである。 指揮を取ったのは、防衛庁長官・葛城辰巳(くずしろたつみ)であった。 戦車隊はその後、旭川ならびに『聖鐘』テンプルムを攻撃。甚大な被害を与えて、テンプルムを市外へ追い出したのである。 これが、一葉の施した『策』。人間の『魔人化』である。人間の魂を抜き取り半不死の悪魔にすることで、限定的ながらもダークフォースを使えるようにしたのだ。 彼らは、『デアボリカ』と呼ばれている。
・悪魔化(デアボライズ) 「魔皇には、さらに上の段階に覚醒する『悪魔化(デアボライズ)』という秘術があると聞きます。なんでも、原初の魔皇と同じ力を持つ事が出来るとか。それが実現するならば、この戦局も大きく動くでしょう――私の望むように」 非公式に行われた、十三使徒“法皇”ユディットと、魔皇たちとの会談を録音したテープから抜粋したものである。話をしているのは、ユディットだ。 しかしこのデアボライズについては、多大なリスクを伴うらしい。 まず一つに、一度デアボライズすると元に戻る事が出来ない。二つ目に、大量の精気を食うらしく、周囲の人間からそれを奪取してしまう。そして三つ目には、制御が利かず暴走する可能性が高い――その先にあるのは、死と精気不足からくる飢餓だ。 しかし素手でありながら殲騎以上の力を得、魔皇殻のパワーも威力も格段に上がるという。戦いにおいては、死と引き換えにする価値があるかもしれない。 選択するのは、魔皇たちである。
■自衛隊・北部方面隊第2師団と防衛庁長官・葛城辰巳、雪花の司・一葉。
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